第二回永島塾 「頭頂連合野と運動連合野から読み解く高次脳機能障害〜失行」
- Kazuhiro Nagashima
- 2020年9月24日
- 読了時間: 1分
更新日:2020年9月30日

高次脳機能障害において、失行という症状群は理解しにくいものなのかもしれません。
脳の構造と機能から考えると、何か今までとは違った見方が出来るようになるのかもしれないと思って企画をさせていただきました。
環境から受ける様々な刺激が情報として脳に伝わり、どのように行為や運動に変換されていくのかを考えることが、高次脳機能障害のみならず脳損傷における機能障害を理解するきっかけになります。
そして、それが臨床に役立つ知識になるとともに、技術の用い方や治療展開の道標となるようにお話しできればと思っています。
日時:10月10日(土曜日)14:00~16:00
場所:ZOOMによるオンライン研修
募集:PT/OT/STなど医療スタッフ。
参加方法:このホームページの申し込みフォームを利用するか、メールにて連絡をください。メールには、氏名、所属などを記載してください。折り返し、参加方法をお知らせします。
参加費:2回目ですがまだ無料です。
メールアドレス:khb00357@gmail.com
研修会報告です。
今回の研修会は4名の参加がありました。
PT1名、OT3名。その中で以前の職場からは2名でした。
今回お伝えしたのは、脳の構造と脳生理学的な部分で現在わかっていることを俯瞰して推測すると、認知領域と運動領域と呼ばれるところはは相互に関連し合うことで適応行動を出力することが出来ているといえること。
つまり、認知領域と運動領域の働きを別々に考えていくことは人の行動の理解につながりにくい可能性が高いということです。
そして、認知運動(行動)あるいは運動(行動)認知と呼ぶべき情報の入出力連合機能は姿勢制御に支えられているということ。
ですので、PTは例えば失認があるから歩行が上手くいかないといった評価をするのでは無くて、認知機能と運動機能を同時に高めつつ歩行機能を獲得するためにはどうしたら良いのかといった思考に立った方が望ましいであろうと思われること、OTは、例えば着衣失行があると思われる際に着衣の手順などを練習していくことで着衣の自立を目指すのみでは無く、姿勢や運動が様々な感覚を利用して自然でなめらかに出来るように、着衣が出来るということが様々な認知や運動機能の改善をもたらすように考えていく方が望ましいのでは無いかと考えていることなどを話させていただきました。
参加していただいた先生方、ありがとうございました。
研修会でお話をしたことが少しでも臨床のお役に立てれば幸いです。
いくつか感想をいただいたのでご紹介をさせていただきます。
a)
久々の(永島の)講義で楽しかったです。
b)
高次運動野の話は略語に慣れず、頭に入りにくかったですが、資料をみながら話を聞くとイメージしやすく分かりやすかったです。
F4、F5(腹側運動前野)の働きはこどもをみるときによく聞いていた、手と口の協調運動運動と身体図式が出来る仕組みのことかな。と頭に入りやすかったです。
前回、今回と参加して、患者さんの困っていることに対して高次脳機能障害だからではなく、観察や、知識に裏付いた推論で治療をすすめられるようになりたいと改めて思いました。
c)
永島先生のご講義はとても分かりやすく勉強になります。
特に高次運動野における相互作用やそれぞれの役割についてご丁寧に教えて下さったので「なるほど!」と思えることが多く、知識の整理につながりました。
認知というものと運動が切り離せないことなど改めて理解することができました。次回も参加してみたいと思っています。
またご講義の中でお話しされた実技も是非開催される機会があれば参加して技術力を高めさせて頂きたいと思っています!
今後もよろしくお願いいたします。
d)
外部から入力された刺激が脳内でどう処理され、適切な運動出力として変換されるのか、分かりやすく解説して頂き失行に対する見方が大きく変わりました。
これまで失行を伴う患者の理学療法を進めていく中で、難渋することが多く、高次脳機能障害に対する苦手意識がありました。永島先生の言われていた通り、本来理学療法で介入出来る部分を高次脳機能障害のせいで動作が出来なくなっていると、自身でフィルターを掛けていたのだと自身の臨床を見返すきっかけとなる貴重な講義でした。
ありがとうございました。
いただいた感想は以上です。
話したことが臨床に少しでも役立っているのであれば幸いです。