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第三回永島塾「姿勢制御と運動制御」

  • 執筆者の写真: Kazuhiro Nagashima
    Kazuhiro Nagashima
  • 2020年11月4日
  • 読了時間: 1分


1回目で認知を、2回目で行為の障害を取り上げて、それぞれに姿勢制御が関わっていることを説明してきました。

ここで、第3回目は姿勢制御と運動制御及び環境認知制御の研修会を開催したいと思います。(環境認知制御という言葉は造語です。)

姿勢制御/運動制御/環境認知制御の視点から臨床を見れば、なぜ患者さんがステレオタイプな運動や動作に陥っているのか、なぜ周辺環境を認知しにくいのかなどの臨床推論に幅ができることと思います。

そして、それがアプローチの手がかりを増やすことにつながることを目標にした研修会です。



日時:11月28日(土曜日)14:00~16:00

場所:ZOOMによるオンライン研修

募集:PT/OT/STなど医療スタッフ。

参加方法:このホームページの申し込みフォームを利用するか、メールにて連絡をください。メールには、氏名、所属などを記載してください。折り返し、参加方法をお知らせします。

参加費:無料です。

メールアドレス:khb00357@gmail.com

 
 
 

1 comentario


Kazuhiro Nagashima
Kazuhiro Nagashima
30 nov 2020

質問があったので、ここでも記載しておきます。


Q)呼吸の動画をみると肋骨(胸郭)と頭部が振り子のように動いているように見えましたけれど、実際に振り子のように動くのでしょうか?


A)構造的には吸気時に横隔膜が下に下がりますので、カスタビリテーが働いて腹腔の圧がしっかりあるのであれば脊柱を後方に押すモーメントが働くと思いますので、呼気時はその力が弱くなりますので前後の重心動揺が起こるのが自然だと思います。神経学的には呼吸の意識的/無意識的な調節に関わる橋結合腕傍核とケリカー・布施核の働きが関わります。結合腕傍核は吸気と呼気の切り替えに働くのですが、近年青斑核と共に前脳基底部に出力を送り覚醒を高める作用が指摘されるようになっています。同時に吸気時には交感神経系を賦活し、呼気時に副交感神経系を賦活するとも言われています。また網様体脊髄路とも接続しているので、これらを合わせて考えると、結合腕傍核・ケリカー・布施核は覚醒を高めるとともに吸気時に交感神経系を賦活しつつコアスタビリティのローカル・グローバルシステムを賦活して抗重力性を高め、呼気時には副交感神経系を賦活すると共に抗重力性をすこし弱めるような働きがあると推測できると思います。

これらの構造や神経学的な働きが組み合わさることで効率の良い換気が行われている可能性が高いので、やはり前後に揺れることは起きていると考えています。ただ、こういった運動は身体内外の環境要因で修飾されるので必ず、いつもそうなっているとは限らないかもしれません。

ただ、こういったことでバランスが崩れるようであれば、負荷がかかった際に深い呼吸をするといった反応が制限されるので耐久性は下がります。また、バランスの代償で上部胸郭や頸部の固定が起きれば構造的に呼吸は浅くなることが予測されるので、様々な動作において姿勢制御が上手く働くように配慮しながらアプローチすることは大切だと考えています。


Q)視蓋脊髄路と間質核脊髄路では同じような働きがありますが、違いと患者さんをみるときに考えるポイントなどがあれば教えて頂きたいです。


A)環境をできるだけ安定して正確に知覚していくためには、視覚情報で頭部を垂直に保ち視覚情報を得やすくすることと、視覚情報に基づいて眼球運動と頭頸部の運動を協調させるといった二つの働きが大切だと思います。

間質核脊髄路は、眼球の垂直運動と頭頸部の制御に関わっているとされています。入力は前庭核や上丘、皮質からの物が存在しているようで、おそらく上部体幹が安定している際の頭部の垂直位定位に働いているように思います。

視蓋脊髄路は、視覚情報をもとに上部体幹~頸部の筋に出力を送っています。また、前庭核にも線維連絡を持っていて、前庭脊髄路を賦活することで身体が傾いた際の上部体幹や頸部の立ち直りに働いているようです。また、周辺視野に入った視覚刺激を中心視で捉えるサッケードに関わりが深く、追視などの際に頭頸部の動きと眼球運動の協調などに関わりを持つ物と思います。

視蓋脊髄路や間質核脊髄路が協調することで安定した視覚情報を知覚できる状態になりますので、これらの回路の機能が何らかの原因で破綻すれば視覚情報に基づいた運動、例えばリーチや身体図式を含む認知制御も問題を起こすこととなります。

間質核や視蓋前域は上丘と接続していて、上丘には前頭眼野・運動野・上側頭回などからの入力があるので、脳損傷が起これば間質核や視蓋の機能も混乱してくることは想像できることとおもいます。

しかし、視蓋脊髄路や間質核脊髄路によって支えられて視覚情報が安定することが視覚情報を安定させ、その視覚情報と体性感覚情報、前庭感覚情報を合わせて身体図式を形成し、機能的な運動出力や認知になっていくことを考えればとても大切な回路であるといえます。

患者さんを診る際には、立ち直りを含めた頭部の垂直定位、眼球と頭頸部の運動性の協調を意識しています。間質核脊髄路の働きは眼球座標系から垂直軸を生成するために重要かもしれません。そういった意味では、視界の中に垂直の特性のある物体(垂直な棒とか壁のコーナーとか視覚的に垂直の要素を含む物)を配置しながら姿勢制御を操作したり、リーチなどを行うことや、場合によってはその垂直の物体やエッジを手でトレースすることで体性感覚と視覚の垂直という情報を一致させるなどの方法をとったりします。

立ち直りなどを促通する際も視覚情報の中に垂直軸の成分を入れていくことは有効かもしれません。

また、頭頸部や体幹を操作することで容易に頭部が垂直軸に近づくようであればそういった操作の中でリーチや他の運動を促すことも視蓋脊髄路の働きを考えれば重要だと思います。

ところで、視蓋脊髄路は聴覚情報も受けていて、音や声のする方を見るために向く時にも働きを持っているので、音や声の利用なども有効です。

ただ、声が言葉になってしまうと言語処理から意識が出現し反応は複雑な処理の結果となってそれを評価することが難しくなるので言葉かけは慎重に行う必用はありそうです。


いずれにせよ結合腕傍核/ケリカー・布施核にしても、間質核脊髄路や視蓋脊髄路にしても網様体脊髄路と接続していて、姿勢制御と共にあります。

そして、視覚の安定は身体図式に関わっていて、それは運動や認知に関わることになります。患者さんの環境適応能力を高めようと考えるのであればそれらの関連性を意識しながらアプローチを行うことが大切だと思っています。



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